第三者意見

今年度のレポートは、GRI第4版(G4)に完全に準拠し、重要課題を6カテゴリにわたって明確に設定したうえで、経営トップ がその重要性と基本的考え方を表明し、関連経営指標の状況について体系的に記述している点が大きな特徴です。

日本福祉大学 執行役員 国際福祉開発学部教授
千頭ちかみ さとし

重要課題の設定とそれに即した記載

2015年度レポートで記載されていたバリューチェーンおよびステークホルダーとの関わりについての課題整理を受け、今年度は、アイチグループが事業活動を通じて取り組むべき6つの重要課題を特定し、中核準拠方式により、課題に関わる重要経営指標について体系的に記述している点が大きな変更(改善)点です。特に、経営トップが、なぜ重要と判断したか、基本的な考え方をトップメッセージの中で明確に示している点が高く評価できます。重要課題の提示にあたって、課題解決に向けた基本方針を明確に記載し、レポート全体がG4に準拠することによって、広義のCSR戦略が明確となり、ステークホルダーにとっても、わかりやすいレポートとなっています。今後、重要課題を全 社的に共有し、企業活動が持つ社会的な意味・意義と責任を踏まえてさらに発展的に活動していくことを期待しています。

1Sをベースとした発展性・成長性が明確

「4Sリエンジ」によるプロセス改革や、全社あげての「ZZZ200」活動を通じて、2020年ビジョンの達成を目指す経営方針が明確です。特に、製鋼リエンジとして取り組みつつある、電気炉排熱からのエネルギー回収と発電事業は、省エネルギーから創エネルギーへの新たな展開として、大いに期待できます。また、事故の教訓の中から、「正直」を中心とした「1S」文化の意味を再確認し、グローバルに展開することが示されていますが、企業文化の根幹として今後とも、諸活動の基軸に据えていただきたいと思います。

3ケ年でのレポートの進化

2014年から3ケ年のレポートを眺めてみると、わかりやすさ、読み手への訴求力などが着実に進化しています。今年度は トップメッセージの中で新しい愛知製鋼を目指す姿勢や、事故に関する報告ページで、二度と同じような事故を引き起こさず、会社の弱い部分を克服していくための「ステップアッププラン」を掲げており、強固な事業基盤を構築していく姿勢が明確になっています。また、表紙を比較すると、イラストに描かれている地球が自転するにつれて、緑が増え、豊かな生き物と人にあふれた地球が描かれており、G4完全準拠に向けて着実に努力を積み重ねてきた成果を物語っているといえます。

CSR中期計画における実績と課題が明記

昨年度と同様に、CSRビジョンに基づく重点実施事項と達成方策、目標、実績・評価が簡潔にまとめられているとともに、目標が未達成な項目について、反省・課題などがきちんと抽出され記載されている点も評価できます。

2015年環境取り組みプランをほぼ達成

「2015年環境取り組みプラン」は、輸送効率向上やグローバルなCO2マネジメントなどを含め、5年間で概ね当初の達成目標をクリアできたと評価できますが、同時に、直接埋立量やCO2総排出量の削減は依然として課題であると考えられます。次期の環境プランが、生産工程全体の変革を含む新たなチャレンジとなることを期待したいと思います。

最後に

今回の事故を受け、全社的に問題点の洗い出しと改善策の実行が進められていますので、「ステップアッププラン」の確実な実行と、「年輪的成長」を見守りたいと思います。またそれらのことを踏まえ、来年度のレポートがさらにどう進化するかも楽しみです。

当意見は、経営層を含む関係者へのヒアリングに基づいて執筆しています。

第三者意見を受けて

千頭先生には、2010年度より継続して貴重なご意見ならびにご提案をいただき、感謝申し上げます。

今年度は、GRI第4版への完全準拠に向け、グループ全体で取り組むべき6つの重要課題の特定に加え、今年1月8日に発生した事故を踏まえて、いっそうのCSR体制強化と経営基盤の再構築を図ることを大きな軸として取り組んでまいりました。そのうえで、課題解決に向けた基本方針を含め、戦略的なCSR経営を図っていくうえで、大変貴重なご意見をいただきました。

今回ご評価いただいた重要課題についての体系的記述や、2020年ビジョン達成を目指す経営方針、「1S」文化のグローバル展開、そして「ステップアッププラン」に対する取り組みなどについては、今後の活動の励みとしつつ、確実な実行に向けて真摯に取り組んでまいります。

また、今回ご指摘いただきました「直接埋立量」や「CO2総排出量の削減」につきましては、引き続き全社一丸となって目標を達成すべく検討を進めてまいります。そして、今年新たに策定した「アイチ環境取り組みプラン2020」を着実に実行することで、環境取り組みの領域をよりいっそう拡大し、新たな時代を築くための環境貢献を積極的に進めてまいります。

今後も、ステークホルダーの皆様への感謝の気持ちを忘れることなく、日ごろのコミュニケーションを大切にしながら、グループ一体となってCSR活動に取り組んでまいります。そして、CSV(共通価値の創造)の実現に向け、全社員が一体となってさらによいモノづくりに取り組むことで、「いつまでもこの地にあり続けてほしい企業」をこれまで以上に目指してまいります。

上級執行役員 総務部担当
村上 一郎