3つの強み・開発事例

3つの強み

01 世界最強のボンド磁石

MAGFINE®は、フェライト焼結磁石の5倍、Nd等方性ボンド磁石の2倍、Nd焼結磁石の1/2の磁力を持つ世界最強のNd異方性ボンド磁石です。

その理由はd-HDDR法によって製造され磁気特性に優れた異方性の磁石粉末を用いているためです。

01 世界最強のボンド磁石 図1
01 世界最強のボンド磁石 図2

MAGFINE®は磁石粉末と樹脂の複合材料であるため、形状自由度が高く、理想的なモータ設計実現により、磁力の強いNd焼結磁石と比べ、より小型で同等以上のモータ出力を追求できます。

01 世界最強のボンド磁石 図3

さらに、磁粉間に樹脂があるため、Nd焼結磁石と比べて約100倍電流が流れにくい特長があります。

高速回転モータでは磁石に発生する渦電流がほとんど流れず、磁石の自己発熱量が小さいので、磁力の低下(熱減磁)を抑制でき、モータ効率向上が可能です。

01 世界最強のボンド磁石 図4
01 世界最強のボンド磁石 図5

02 モータ製造工程の省略化

モータ製造で通常必要な切削加工・組付接着・着磁工程が、一体射出成型によって1つの工程に省略できます。それによって、人・設備を削減できるとともに、接着や着磁のばらつきなど生産技術のお悩みを解決します。

02 モータ製造工程の省略化 図

03 省資源(Dy、Tb、Coフリー)

貴重な地球資源であリ、供給量が不安定で価格の変動が大きい重希土類のDy、Tbに加えて、特定化学物質であるCoを全く使用していません。そのため、資源リスクを軽減でき、資源の安定調達が見込めます。

03 省資源(Dy、Tb、Coフリー) 図

Story1 重希土類Dy・TbフリーのMAGFINE®を使用したIPMロータの設計

課題

エアコン用コンプレッサや車載モータ用途のIPM構造高効率モータに使われるNd焼結磁石に含まれる重希土類(Dy、Tb)の資源調達リスクが高い。

成果

重希土類(Dy、Tb)フリーの異方性ボンド磁石(MAGFINE®)を使ってIPMロータを設計したことで、資源調達リスクを軽減。

事例の詳細

一般的に、エアコン用コンプレッサや車載モータには、Nd焼結磁石を使ったIPM構造の高効率モータが使用されている。そういったモータは、ロータの内側にNd焼結磁石を埋め込むことで、磁石トルクに加えてリラクタンストルクを有効活用するIPM(Interior Permanent magnet)構造にすることで、トルクを増やしている。

しかし、Nd焼結磁石は板状の形状が最もコストメリットが高いため、IPMもその延長上で設計され、リラクタンストルクの使用に限界があった。

Story1 図1
Story1 図2

一方、当社が開発した異方性ボンド磁石MAGFINE®は、重希土類Dy、Tbを含んでいないため資源調達リスクを軽減できるものの、Nd焼結磁石の1/2の磁力であるため、同サイズで同出力を出すためには、ロータの設計を工夫する必要があった。 設計ポイントとしては、磁力不足を補うために、下記トルクに関する式の①~④に関わる項目についてボンド磁石の利点である形状自由度を活かして設計するものとした。

Story1 図3
Story1 図4
Story1 図5

解析例

Nd焼結磁石で構成されているCurrent modelに対し、下記モデルにてMAGFINE®での検討を実施した。

Story1 図6

極数とリラクタンストルク(Lq-Ld)の関係および極数と磁石重量の関係を下記に示す。

Story1 図7
Story1 図8

結果として、下記に示すように同等トルク性能でDy使用量を0gにすることができたことによって、Nd焼結磁石と比べ、希土類資源指数を33.5ポイント下げることができた。

  • 希土類資源指数:2011年11月時点ではNdが$290/kg、Dyが$2877/kgであるため、指数としてNd使用量+10×Dy使用量と定義した。すなわち、Nd焼結磁石は26+10x5=76、MAGFINE®は42.5+10x0=42.5。
Current model
Nd焼結
Model4
MAGFINE
磁石使用量(g) 100 137
Nd(g) 26 42.5
Dy(g) 5 0
希土類資源指数
Nd∔10Dy
76 42.5
(44%削減)
  • 2011年時点の市況価格等をもとに算出。

Story2 モータ3割軽量化を実現させたアウターロータの設計

課題

ドローンの長時間飛行を可能にするためのモータ軽量化。

成果

ドローン用ロータの従来比約3割軽量化を実現。

事例の詳細

一般的にドローン用モータのニーズは、長時間飛行できるようにモータを軽量化することである。ただし、ペイロード(積載重量)確保のため、一定のモータ出力の確保が必要である。モータの重量と出力は、設計の概念上、背反の関係にあり、出力を増やすとそれに比例して重量も増えるため、出力密度(出力/重量)を軽量化の物差しとして用いる。

従来のモータの設計は出力を確保するために、高磁気特性の鉄製のハウジングに磁石を複数枚接着し、ハウジングを介して隣り合う磁石の磁束線を繋げて発生磁界を向上させることで、回転トルクを高める設計を行っていた。しかしハウジングが鉄という比重の高い素材のため軽量化に限界があった(図2a、図2b)。

そこで、先に開発した「一体射出成形技術」(図1)を応用し、ハウジングに軽く非磁性であるマグネシウム合金を用い、磁束線を繋げるのに最低限必要な厚みのヨークをハウジングの内径側に配置した後、ボンド磁石のMAGFINE®を一体射出成形すること、および磁石の磁気パターンを極異方配向着磁とすることで、ヨークの使用量を大幅に削減し、モータの出力密度向上を図った(図3、写真1)。

図1 一体射出成形技術

Story2 図1 一体射出成形技術(1)
Story2 図1 一体射出成形技術(2)

図2 ロータアセンブリの構造

Story2 図2 ロータアセンブリの構造

写真1 ロータアセンブリ

Story2 写真1 ロータアセンブリ

図3に開発モータと他社モータの特性を示す。本製品は他社モータと比べて、最大出力を約2倍にし、約3割の軽量化したことによって、出力密度(出力/重量)を3.5倍向上することができ、大幅な軽量化ができた。現在、本開発モータは、農薬散布用ドローン(農薬搭載量12Lで最大飛行時間180分の長時間飛行)に採用されている。

アウターローター型ブラシレスモータ・ドライバ

図3 他社モータとの比較

Story2 図3 他社モータとの比較(1)
Story2 図3 他社モータとの比較(2)