2025.07.30
【BSコラム④】鉄ってバイオスティミュラントなの? 〜肥料とは?栄養とは?バイオスティミュラントとは?〜
鉄は栄養。でも、肥料ではない?
バイオスティミュラントという言葉を耳にする機会が増えていますが、「鉄もバイオスティミュラントなの?」と聞かれることがあります。
結論から言えば、鉄はバイオスティミュラントではありません。そもそも鉄は、植物にとって欠かせない「必須栄養素」のひとつです。光合成や呼吸、葉緑素の合成といった基本的な生理機能に関わっており、不足すればクロロシス(葉の黄化)など明確な症状が現れます。
ただし、鉄は日本の肥料の法律では、普通肥料として見なされない成分です。つまり、鉄は栄養でありながら、肥料とは異なる存在なのです。
栄養=バイオスティミュラントではない。でも、鉄力は?
ここでもう一つ確認しておきたいのが、バイオスティミュラントの定義です。日本の農水省が2025年5月に公表したガイドラインでは「栄養成分とは関係なく」はたらきを持つものとされ、欧米でも栄養成分そのものはバイオスティミュラントとは見なされておらず、ミネラルの中ではセレンやケイ素、ナトリウム、コバルトなどが例に挙げられます。
このため、必須栄養素である鉄そのものは、バイオスティミュラントではないと考えられます。
鉄は肥料でも、バイオスティミュラントでもない。それならば、鉄力は何なのか?
――そこで注目したいのが、バイオスティミュラントの定義である「農作物による栄養成分の取込・利用効率」や「乾燥・高温・塩害等の非生物的ストレスに対する耐性」の改善です。鉄力シリーズは環境要因によって植物の鉄吸収能力が低下した時に、鉄分を吸収させやすくすることができるため、バイオスティミュラント資材と言えることができます。
鉄力は、吸収というプロセスに着目する
鉄力シリーズは、単に"鉄を補う"のではなく、"鉄をどう効かせるか"に徹底してこだわった設計がなされています。たとえば、鉄力の成分が根に触れると、植物が元々持つ根の鉄還元酵素が活性化し、3価鉄から2価鉄を作り出し、吸収できるようになります。
こうした吸収メカニズムへのアプローチによって、従来の鉄資材では得にくかった"植物の活力"が、鉄力では実感される場面が現場で報告されています。
「曇天でも樹勢が維持できた」「成り疲れが改善できた」「暑さに強くなった」――
こうした声は、まさにバイオスティミュラントに期待される効果です。
鉄力は、栄養資材でありながら、植物の活性にも作用する"二刀流"の鉄資材と言えるのです。
愛知製鋼はバイオスティミュラントという名前が使われる前から、鉄分の吸収機構に寄り添った製品を販売してきました。今、バイオスティミュラントが認知されはじめ、その一つの例として、鉄力シリーズが現代の農業問題の解決の一助となるよう、今後も取り組んでいきます。
お役立ち情報
BSコラム① バイオスティミュラントってなに? 鉄力ってバイオスティミュラントなの?
BSコラム② 日本バイオスティミュラント協議会とは? 愛知製鋼との関わりは?