事業環境の変化

社会環境が大きく変わり続ける中で、CASEの進展やカーボンニュートラルなど新たな課題への対応が求められています。今回は、社会全般でのリスクと機会の分析に加え、特に変化が激しいカーボンニュートラルにスポットを当て、当社の取り組みや長期的な視点での戦略を紹介します。

環境分析 地球環境の変化
分類 温暖化
生物多様性
リスクと機会 カーボンニュートラルへの対応
  • エネルギーコストの負担増
  • 革新的技術開発、再生可能エネルギー活用にかかる負担増
  • カーボンニュートラル実現に向けて取り組む企業への信頼向上
  • エコ製品の需要拡大
  • 技術革新の進展による技術競争力向上
施策(現状) 「アイチ環境取組みプラン」の実行(5年毎に更新)
CO2の排出量低減に向けた技術開発、導入

  • 工場排熱を利用できる蓄熱システムの開発・工場実証(2019年)
  • 電気炉排熱を蒸気エネルギーへ変換・活用できる排熱回収設備(2020年)
自然環境保全活動の推進
  • 中新田緑地の整備や生物多様性維持などの地域・社会貢献(2013年~)
環境分析 既存マーケット環境の変化
分類 社会インフラ寿命
鉄鋼需要動向
リスクと機会 社会インフラの再構築
海外メーカーの成長、鉄鋼各社の構造改革
施策(現状) 社会インフラの更新に役立つ素材、製品の開発
鍛鋼一貫の競争力強化
環境分析 スマート社会の到来
分類 CASE(自動車の機構変化、自動運転)
DX
リスクと機会 電動車市場の拡大(BEV用素材、部品の需要拡大)
自動車の電動化による特殊鋼使用量の減少
新技術、新素材のマーケット拡大
施策(現状) BEV、FCEVに対応する素材、部品の開発
新分野への事業展開
DXによる生産性向上
環境分析 社会環境の変化
分類 高年齢化と多様化
安全、健康
新たな感染症の流行
リスクと機会 少子化による労働人口の減少
働き方改革の進展
パンデミックによる事業への影響
施策(現状) ダイバーシティの強化
作業環境の整備
健康増進活動
柔軟な生産体制構築と多様な働き方推進

カーボンニュートラル実現に向けて

2021年に政府が掲げた「2050年カーボンニュートラル」は、電力多消費産業である当社を含めた電炉メーカーにとって、エネルギーコストの増加、これまでに存在しない技術開発にかかる費用など経営上のインパクトは非常に大きいと言えます。当社では「やれるか、やれないか」ではなく、「どうすればやれるか」という視点で取り組むべき課題を明確にし、カーボンニュートラル実現に向けて挑戦を続けていきます。

現在進行中の新たな取り組み:「カーボンニュートラル推進体系」の設置・運営

社長を議長とする「地球環境会議」の中で、低炭素社会構築や資源循環型社会構築、環境異常未然防止などに取り組んできましたが、活動強化に向け3本柱をベースに組織の再編を行い、活動を開始しています。また、当社国内7工場のうち2工場をカーボンニュートラルモデル工場と位置付け、①関工場の自社発電に向けた太陽光発電の活用 ②刈谷工場の再生エネルギー活用によるCO2削減推進を先行して取り組み、実現していきます。

組織の構成と役割

interview
「継続」と「革新」でカーボンニュートラル実現に挑む


取締役経営役員
安全衛生環境オフィサー

安永 直弘

当社は、自動車やインフラ解体などから発生する鉄スクラップを主原料にモノづくりを行う資源循環型企業です。「アイチ環境取組みプラン」の中でCO2排出量低減や地域の環境課題の取り組み計画・目標を定め、熱効率向上や排熱回収などの新技術導入に加え、照明のLED化など、徹底的な省エネ、中新田緑地のビオトープ化などの自然共生活動を継続的に行ってきました。2030年ビジョンで掲げたESG経営推進のための重要指針の1つ、「持続可能な地球環境への貢献」の取り組みを、当社は長年地道に着実に実施してきたと自負しています。

そのような中、昨年政府が掲げた「2050年カーボンニュートラル」は、従来の取り組み内容やスピードでは決して成し得ない大きな課題です。目標達成のためには当社だけではなく、国による大きな指針・施策の策定や、エネルギーや運送など全産業の協力、革新的な技術開発など大きな方針転換が求められています。この状況をリスクではなく新たなビジネスチャンスと捉え、長年の改善活動の中で蓄え続けたノウハウを活かし、革新的な技術開発や世のニーズを先取りした製品開発を推進していくことが重要だと感じています。

私は入社以来、知多工場の圧延現場や生産技術を中心に経験を積み、知多工場長や生産技術本部長、鋼カンパニープレジデントも務めてまいりました。電力や燃料を多く使用する電気炉・加熱炉を保有する当社は、エネルギー多消費産業と言われ、カーボンニュートラル対応のためには、エネルギーコストの増加は避けられない課題の1つです。これまでも、オイルショックや円高、リーマンショック、コロナ禍など、コントロールできない社会の環境変化に対し、全社一丸となって立ち向かい、体質強化を図ることで、困難を乗り越えてきました。今回もピンチをチャンスと捉え、鉄鋼業界でリーダーシップを発揮できる革新的な技術開発、自動車業界に貢献できるエコ製品開発、太陽光などの再生エネルギー活用、CO2の再利用(メタネーションなど)や水素・アンモニアの利用などにも果敢に挑戦し、革新的な取り組みを進めてグリーン社会の実現に貢献していきます。

カーボンニュートラル推進体系で適時適切、
効果的な取り組みを推進

社長をトップとし、私が統括リーダーの役割を担う「カーボンニュートラル推進体系」を組織し、取り組みを6月から開始しました。分科会にはリーダーに加えサポート役のオフィサーを配置し、スピード感を持った確実な経営判断により具体的なテーマをタイムリーに推進しています。

「CN企画分科会」は、経営環境も踏まえて、全体の方向性を決める重要な役割を担っています。政府の宣言から短期間に状況が目まぐるしく変わり、正確な最新の情報を集め、迅速に最適な対応を立案していくことが重要です。共通の目標認識のもとで進める必要もあり、この分科会を通じて鉄鋼各社に留まらず広く情報収集を行っていきます。また、自助努力に加え再生エネルギー活用も必須であり、エネルギー各社との連携体制も構築していきます。

この組織で、まずは2030年の目標であるCO2排出量35%削減(2013年比)実現に向けて活動し、2050年カーボンニュートラル実現の前出しについても検討を始めていきます

重要なのは長期的な視点

この取り組みは、今すぐに成果が出るものではなく2050年あるいはもっと早い段階での実現まで粘り強く取り組む、長い闘いと言えます。そこで組織には、20代~30代の若手メンバーも多く登用し、取り組みの進め方などを経験として蓄積し、カーボンニュートラル実現まで必ず推進し続けられるように人材育成を行っています。私の役割は、その実現に向けての道筋・基盤を作り、将来を担う若手にしっかりバトンを渡すことだと認識し、将来にわたって当社が存続し続けられるよう、尽力していく所存です。